ウイメンズ・エナジー・ネットワーク(WEN)は、エネルギーを考える女性のネットワークです。

見学記録~見る・知る・体験する~

これまでの見学先

このプロジェクトをとおして、わたしたちもますます放射線利用に興味を持つようになりました。
そこで、放射線を利用している様々な施設を継続的に見学しています。

これまでの見学先(詳細)2010年6月11日 (独)日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター2009年6月15日 (社)日本アイソトープ協会 滝沢研究所見学会2007年01月11日 第一ラジオアイソトープ研究所 千葉工場2007年06月25日 日本原子力研究開発機構 高崎量子応用研究所2006年06月17日 青森県六ヶ所村施設見学会2004年11月27日 兵庫県立粒子線医療センター および 大型放射光施設SPring-82003年03月07日 農業生物資源研究所 放射線育種場2003年10月03日 沖縄県ミバエ対策事業所2003年11月19日 中部電力(株)浜岡原子力発電所・静岡県環境放射線監視センター2002年11月27日 北海道士幌農業協同組合~ジャガイモ照射施設
2018年 2015年 2014年 2010年
2009年 2007年 2006年 2004年
2003年 2002年  

2018年

開催日 見学先
2018.01,15 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所(放医研)

講演 「重粒子線治療の最近の進歩」
(講師:北川敦志 氏(放医研研究企画室長)
講演 「低線量問題の進捗」
(柿沼志津子 氏(放医研放射線影響研究部長)
施設見学 「低線量影響実験棟」「緊急被ばく医療施設」「分子イメージング研究棟」「新治療研究棟」

2015年

開催日 見学先 詳細
2015.07 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)
食品総合研究所

2014年

開催日 見学先 詳細
2014.11 函館・大間視察会

視察先 北海道教育大学函館校 環境科学専攻 ESR計測室
電源開発(株) 大間原子力建設所

2010年

開催日 見学先 詳細
2010.06.11 (独)日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター

2009年

開催日 見学先 詳細
2009.06.15 (社)日本アイソトープ協会
滝沢研究所

・茅記念滝沢研究所(医療アイソトープ廃棄物の集荷、処理、保管等を実施)
・仁科記念サイクロンセンター(NMCC)
・武見記念館(アイソトープや現代医学についての展示館)

2008年

開催日 見学先 詳細
2008.10.07 (独)日本原子力研究開発機構(JAEA)
J-PARC(大強度陽子加速器施設)

2007年

開催日 見学先 詳細
2007.01.11 第一ラジオアイソトープ研究所 千葉工場
2007.06.25 日本原子力研究開発機構 高崎量子応用研究所

2006年

開催日 見学先 詳細
2006.06.17 青森県六ヶ所村施設見学会

2004年

開催日 見学先 詳細
2004.11.27 兵庫県立粒子線医療センター・大型放射光施設SPring8

2003年

開催日 見学先 詳細
2003.03.07 農業生物資源研究所 放射線育種場
2003.10.03 沖縄県ミバエ対策事業所
2003.11.19 中部電力(株)浜岡原子力発電所・静岡県環境放射線監視センター

2002年

開催日 見学先 詳細
2002.11.27 北海道士幌農業協同組合~ジャガイモ照射施設

2010年6月11日 (独)日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター

6月というのに真夏のような気候の中、名古屋駅に集合した19名は、バスに乗り換え、一路「東濃地科学センター」に向かいました。今回、東濃地科学センターでは、岐阜県土岐市にある「ペレトロン年代測定装置と、岐阜県瑞浪市にある「瑞浪超深地層研究所」の2か所を見学しました。
最初に、土岐市にある「ペレトロン年代測定装置(炭素-14年代測定法)」を見学しました。ペレトロンは、試料中に含まれる極微量の放射性同位体の量と割合を測定する装置です。ご存じのとおり、、自然界では極微量の放射性同位体が生成され、時間とともに壊変して量が減少していくことが知られていますが、試料中の同位体の量を測定することで、同位体が取り込まれた年代を測定することが可能になるのです。
試料は、水や化石等であり、大学や研究施設、幌延にある地下研究所のほか、仏像や古文書などの年代測定にも利用されているとのことでした。年間900年弱の測定を行っているそうです。
午後からは、瑞浪超深地層研究所を訪問しました。ここでは、高レベル放射性廃棄物を深い地下に、安全に処分するための様々な研究がおこなれていますが、今回は、深度300mの研究アクセス坑道(幅4m、高さ3m)を見学しました。毎分100mのゆっくりした速度のエレベーターで現場に向かい、全長約100mの研究アクセス坑道を歩きました。地下掘削で、最大の課題は地下水(湧水)だそうですが、掘削前から水の湧出を押える対策をとったり、坑道脇の側溝に傾斜をつけて地下水を集める仕組みを施していました。

実際の現場は、湿度が高く蒸し暑かったのですが、地下300mとは思えないような、荘厳な雰囲気と、きれいに整備された坑道が印象的でした。この施設は、今後、原子力以外の分野を含め、多方面の研究機関に利用してもらう計画もあるとのことでした。

2009年6月15日 (社)日本アイソトープ協会 滝沢研究所見学会


岩手県の滝沢村にある滝沢研究所は、全国の病院など日本で発生するすべての医療アイソトープ(RI;放射性同位元素)廃棄物の国内唯一の処理施設のほか、サイクロトロン(*)を用いた核医学施設を有し、医療RIの廃棄物処理の流れに加え、製造や利用研究についても学ぶことのできる施設です。
廃棄物処理施設「茅記念滝沢研究所」では、全国の約1,500もの医療機関から集めた固体廃棄物を焼却やプレスで減容した後、処理済み廃棄物体として保管しています。廃棄物の約8割は可燃物(紙類、布類等)と難燃物(注射器などのプラスチック製品やゴム・ポリ製品)で、現在は、年間に50L容器1万本の廃棄物を焼却処理により200L容器数10本に減容しているとのことでした(減容率は1/150)。廃棄物に含まれる核種の半減期は短く、見学には特段の防護も必要ありませんが、燃焼にともなう排ガスを複数のフィルターで浄化してから屋外へ排出したり、測定器を設けて施設周辺の放射線量をモニタリングするなど、周辺環境へ影響を与えないよう細心の注意が払われていました。

「仁科記念サイクロトロンセンター」では、超小型サイクロトロンで製造したRIを同じ建物内にあるPET/CT装置に用いて、脳疾患や悪性腫瘍等の検査・診断や研究を行っています。検査には、人体に欠かせない炭素、窒素、水素といった元素のRIが用いられますが、半減期が炭素-11で20分、酸素-15でわずか2分と極めて短いため、検査施設の近くで製造することが肝心とのことでした。
また隣接する岩手医科大学の「超高磁場MRI研究施設」には、アリの腸管まで見えるという高性能MRIがあり、主に脳疾患の術前・術後評価等に活用されています。撮影画像は平面だけでなく、3Dでも確認できるため、頭のどの方向から進むと最小限のリスクで腫瘍に到達できるか、といった情報も事前に手術担当医に伝えることができるとのことでした。


(写真下)処理前廃棄物容器(50L)。医療用は塗装が緑色。

2007年01月11日 第一ラジオアイソトープ研究所 千葉工場

株式会社第一ラジオアイソトープ研究所は、放射性医薬品の全国の病院への搬送や原料となる放射性物質を海外から搬入しています。「放射性医薬品」とは(財)日本アイソトープ協会のホームページの説明によると、「ガンマ線という放射線を放出する少量の薬のことで、主に静脈から注射し、検査用のベッドの上で静かに横になっている間に、ガンマカメラで体の中の様子を画像(シンチグラム)にする方法に用いる」とありました。

千葉工場で製造される放射性医薬品は、主に脳、肺、心臓、腎臓、甲状腺、唾液腺、肝臓・脾臓、胃粘膜、骨のシンチグラム等に用いられるほか、甲状腺治療に用いるヨウ素製剤も製造しています。放射性物質としてテクネチウム(99mTc)を用いている製剤が多いのですが、その中で99mTcをリン酸化合物につけたものは骨に集まる性質があり、放射性のタリウム(201Tl)は心臓の検査に用いられるそうです。
この日は、週三回オランダとカナダから輸入している放射性原料が搬入される日であり、その様子も見学することができました。航空機で到着した原料は、成田空港から専用トラックで運ばれてきましたが、四角い荷台には、頑丈な石油缶程度の容器が固定されていました。中に、わずか100ミリリットル程度の液体の放射性物質が入っているのだそうです。

 

昼過ぎに届いた原料は、その日のうちに医薬品となり、翌日には全国の病院へ運ばれます。放射性医薬品には半減期という制約があるため、一般の医薬品に義務づけられている14日間の無菌試験はないそうです。ですから、製造工程は無菌状態を維持するために最新鋭のシステムを導入していました。

工場の放射性廃液は、貯留し、排水基準の半分まで放射性物質を減量させてから蒸留処理し、残渣やその他の放射性廃棄物は日本アイソトープ協会に処理を委託しているそうです。また、事業所の境界では、放射線量のモニタリングも行っていました。






2007年06月25日 日本原子力研究開発機構 高崎量子応用研究所


2005年10月、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構を統合して、日本原子力研究開発機構が発足しました。現在、10事業所があり、高崎量子応用研究所は、農業・工業・環境保全、医療分野への利用等について国民の日常生活に貢献する研究開発の中核として、実用化を目指し研究を行っています。
バイオ応用技術研究ユニットでは、世界に先駆けてイオンビームを植物等の育種に利用し、品種改良や新しい遺伝子資源の創生を図ることを研究目的とし、新品種カーネーション、無側枝性キク、低温成長メロン品種選抜等の成果をあげています。(イオンビーム育種技術開発)
また、環境・産業応用研究開発ユニットでは、電子線、ガンマ線を用いた放射線技術により、新しい機能を持つ実用材料を創製することを目的とし、創傷被覆材・床ずれ防止マット・蓄冷材の実用化、低損失ミリ波アンテナ基板・生分解性弾性ゲル・柔らかいポリ乳酸の開発という成果をあげています。(放射線橋かけ、放射線グラフトを用いた実用的機能材料の開発)
ビーム・加速器技術開発部門では、原子力機構がもつ技術・知識を結集させ、群馬大学21世紀COEプログラムに関する共同研究を行っています、最近では群馬大学重粒子線照射施設における超高精度イオンマイクロサージャリー治療システムの設計検討を完了しました。また、ガン治療に有効とされる重粒子線照射技術を全国展開するため、放射線医学総合研究所ハイマックの3分の1の大きさ、予算での小型実証機を群馬大学内に建設中です。さらに、放射線技術者の育成に関しても、現在、群馬大学とは密接な関係を結び、工学系および医学系の大学院へ研究員を派遣しています。
また、全国の大学から延べ640名以上の大学院生等を受け入れたり、全国の国公私立大学と55件の共同研究、さらには産業界でも2005年度は70件の技術提携等がありました。
国際的にも、高崎研は放射線研究のメッカとして認識されているそうで、昭和55年以降、世界36カ国、634名が研究に参加し、それぞれの国へ技術を伝えています。
このように先端技術開発施設として技術を広く伝えていくことを目的に、大学や産業界等との連携や国際協力を図りつつ、フロントランナーとしての技術開発や研究開発を続けています。

2006年06月17日 青森県六ヶ所村施設見学会

青森フォーラムの翌日は日本原燃の原子燃料サイクル施設を見学に行きました。ここには、PR館のほか、低レベル放射性廃棄物埋設センター、再処理工場制御室、使用済み燃料プール、環境管理センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵センターなど多数の施設があります。この日はこれら見学可能な施設を終日かけてしっかりと見学させて頂くことができました。
とくに、印象的だったのは、2007年8月の操業開始に向けてアクティブ試験が行われている再処理工場を見学できたこと。フランスと日本の技術が結集した再処理工場。試験が順調にすすみ、来年の夏には予定どおりスタートして欲しいものです。


2004年11月27日 兵庫県立粒子線医療センター および 大型放射光施設SPring-8

姫路駅から高速に乗って小一時間。播磨科学公園都市に粒子線医療センターおよび大型放射光施設SPring-8は位置しています。
粒子線医療センターはガン治療を目的とした病院です。ガン治療には放射線による照射治療が行われていますが、従来のX線、γ線、速中性子では、病巣に届く前に正常な部分にも照射されてしまいます。ところが、粒子線はある深さにおいて、放射線量がピークになるという特性(ブラック・ピーク)を持つため、ピンポイントで病巣に照射、治療すると共に、正常な組織への影響を最小限に抑えることが可能になるそうです。

放射光とは、ほぼ高速で直進する電子が、その進行方向を磁石などによって変えられた際に発生する電磁波のことで、SPring-8(Super Photon ring-8 Gev の略称)は、世界一の規模を誇る大型放射光施設です。
標高341mの三原栗山の周囲をめぐるようにつくられ、施設全体が加速器という全長1,436mの蓄積リング棟は圧巻でした。大学、研究所、企業などから、生命科学、物質科学、考古学等の研究・開発に利用されているとのことでした。


(写真上:施設全体が加速器というSPring-8のある
播磨科学公園都市。
写真下:粒子線医療センターの回転ガントリー)

2003年03月07日 農業生物資源研究所 放射線育種場

 太古の昔から品種改良は、変わった形質が現れた枝を挿し木したり、変わった形質を持った部分の種を採取したりして進められてきました。放射線が品種改良に使われるようになっても、この方法は変わっていません。
しかし、最近はバイオテクノロジーと培養の技術が発達して、それらと組み合わせることにより、効率よく短時間で品種改良が進むようになったそうです。
作物に放射線を照射しているガンマーフィールドは半径100mの円形の平らな農場で、周囲には高さ8mほどの石垣と土手がありました。照射塔(写真右)を中心にして同心円状に農地が広がっていましたが3月初旬のためなのか、ほとんど作物は目につきませんでした。
放射線に対する作物の抵抗性は植物によって違うそうなので、その植物にとって最適な放射線量の場所に植えられるそうです。
一般的に、稲やさとうきび、トマトなどの一年生の植物は放射線に強く、果物の木などの樹木は放射線に弱いことがわかっているそうです。


照射塔(写真上)を中心に同心円状に広がる農地(写真下)。

2003年10月03日 沖縄県ミバエ対策事業所


 沖縄県那覇市にあるこの事業所は、世界の3大害虫のひとつと言われるウリミバエの根絶のために放射線を利用しています。最近、沖縄産のゴーヤ(にがうり)を簡単に購入できるようになったのはウリミバエの駆除が成功したからです。
沖縄県では1972年の本土復帰によって農作物を全国へ出荷できるようになると期待しました。ところが、ウリミバエが本土に侵入すれば、農作物への甚大な被害が避けられない、とのことから出荷を規制されてしまいました。そこで、ウリミバエを駆除するさまざまな方法が検討されたそうです。農薬では他の作物や環境への影響という心配もあり、アメリカで効果のあった放射線照射による『不妊虫放飼法』を採用することになりました。
『不妊虫放飼法』は簡単に言うと、ウリミバエのサナギに放射線を照射し、成虫にしてから野に放す。そのオスと交尾して産まれた卵は孵化しないので、何度も繰り返すことで、やがて少なくなり、最後には根絶できる、という方法です。
1990年に沖縄本島、1993年に八重山群島で根絶が確認され、農産物の出荷が始まりました。現在は侵入防除事業が継続されています。


(写真上)ウリミバエのサナギ。
ウリミバエのサナギを照射容器(写真下の棒状の容器)1つあたりに約13万個入れ、均一に放射線があたるように回転させながら線源のコバルト60からガンマ線を照射します。

2003年11月19日 中部電力(株)浜岡原子力発電所・静岡県環境放射線監視センター


中部電力(株)浜岡原子力発電所は現在5号機(出力138万kW)が建設の最終段階を迎えている。見学当日は5号機の新燃料の受け入れ検査を行っていました。
静岡県環境放射線監視センターでは、県内14ヶ所のモニタリングステーションで測定された空間線量率(大気中にある放射線量を測定時間で除したもの)や気象データを、近隣5町役場およびホームページで10分ごとに更新しています。そのほか、水、土壌や野菜、果物、魚類、貝類、藻類などの放射能水準を調査しています。諸外国の核爆発実験や原子力施設の事故などによる日本への放射能の影響を調べていましたが、最近はほとんどないので、過去の放射線の影響を調べているとのことでした。
この調査は中部電力でも行っていて、静岡県の調査とダブルチェックをして、信頼性を高めているそうです。

(写真上:原子炉格納容器の蓋があいている状態。
写真下:静岡県環境放射線監視センターで、発電所周辺の試料に
含まれるガンマ線量を測定するための機械。

2002年11月27日 北海道士幌農業協同組合~ジャガイモ照射施設

北海道士幌町は十勝平野の北に位置する農業のまちです。
昭和10年代から付加価値農業に取り組み、ジャガイモを原料とした澱粉工場やポテトチップス、コロッケ工場など次々と事業展開してきたそうです。
1973年に農林水産省食品総合研究所の協力を得て、ジャガイモの芽止めをするためのコバルト照射センターをつくりました。翌年、食品衛生法の認可の下、日本初の照射ジャガイモを販売しました。


一般に端境期には商品が品薄になり、価格が上昇しますが収穫したジャガイモの一部を放射線照射により芽止めして保存しておくことにより、絶えず市場に出荷できるので、価格の上昇を抑制できるそうです。
均一に照射できるようにコンテナはゆっくりと2時間かけて1周し、さらにコンテナを180度回転させてもう1周、あわせて4時間、照射量が発芽抑制に必要な0.15kGy以下に調整するそうです。
放射線測定のコーナーは今回も大人気でした。


照射はジャガイモを入れたコンテナ(写真上)を円状に並べ、中央に線源のコバルト60を置き (写真下。奥にコンテナが見える)、ガンマ線を照射します。


back_to_top

PAGETOP
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.